大学院理工学研究科2年生の大嶋琉太さんが「日本ソフトウェア科学会 FOSE2023」において「IEEE CS Japan Chapter FOSE Young Researcher Award」並びに「FOSE2023 貢献賞」を受賞しました【11月11日(土)】

令和5年11月9日(木)~11月11 日(土)に三重県鳥羽市で開催された「日本ソフトウェア科学会第30回ソフトウェア工学の基礎ワークショップ(FOSE2023)」において、大学院理工学研究科電子情報工学専攻2年生の大嶋琉太さんが、「IEEE CS Japan Chapter FOSE Young Researcher Award 」並びに「FOSE2023 貢献賞」を受賞しました。

大嶋さんは、FOSE2023にて「記号実行とミューテーションを活用したプログラム正誤判定の効率化」という題目(総合情報メディアセンター阿萬裕久教授、川原稔教授共著)で論文発表を行いました。「IEEE CS Japan Chapter FOSE Young Researcher Award」は、FOSE2023の発表論文の中で査読結果が上位であり、なおかつ、筆頭著者が35歳未満の若手であった場合にその筆頭著者にIEEEから授与されるものです。

大嶋さんらは、記号実行という技術を使ったプログラムの正誤判定に関する研究を行っています。今回の論文では、記号実行技術を使ったテストケースの自動生成において、そこにミューテーションという変異プログラムを自動的に作り出す技術を組み合わせることで、多種多様なテストケースを自動生成する手法を提案しました。

ソフトウェアの開発・保守において、そのテストは欠かすことのできない品質保証活動ですが、そのためのテストケース生成は人間による知的作業に依存するところが大きく、自動化が重要なテーマとなっています。

以前から記号実行技術を使うことでテストケースの自動生成については研究が行われていますが、大嶋さんらはそこにミューテーションも組み合わせることで、より多様なテストケースを自動生成する手法の提案を行いました。

この研究は、ソフトウェアの品質管理技術を促進する上で有用な手法の一つになると期待されます。

また、FOSE2023では、参加者による無記名投票によって優れた発表を表彰する貢献賞というものがあり(いわばベストプレゼンテーション賞に相当)、大嶋さんの発表は高く評価されてこの賞にも選ばれました。

受賞した大嶋さん
賞状

工学部の新コース『デジタル情報人材育成特別プログラム』の説明会を実施します!【9月23日(土・祝)開催2023オンキャンパス説明会】

9月23日(土・祝)に開催される「オンキャンパス説明会」内で,

令和6年度より設置される工学部の新コース

『デジタル情報人材育成特別プログラム』説明会を実施することが決定しました!

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 実施日時 :9月23日(土・祝)14:30~15:30(終了予定)

   会場 :城北キャンパス 工学部4号館1階

参加対象者 :高校生・父母等のご家族・高校教員等 どなたでも参加可能です!

説明会の内容:令和6年度より工学部に新設される
       『デジタル情報人材育成特別プログラム』に関する説明・質疑応答

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・事前申込は不要です。ご興味のある方は,直接会場へお越しください。

・当日説明会で使用する資料ならびに音声は,ZOOMでもご覧いただけます。
  城北キャンパスへのご来場が難しいという方もお気軽にご参加ください。

ご参加のURLやID等の詳細は,以下よりご確認ください。

皆さんのご参加を心よりお待ちしております。

〇『デジタル情報人材育成特別プログラム』説明会の詳細はこちらからご覧ください。
URL:https://www.ehime-u.ac.jp/wp-content/uploads/2023/08/on-campus2023-eng-free.pdf

〇愛媛大学 オンキャンパス説明会サイト(7月26日公開)(※別サイトへジャンプします。)
URL:https://www.ehime-u.ac.jp/data_event/ev_2023_adm/

大学院理工学研究科の阿萬裕久教授、川原稔教授らが「2023年度情報処理学会ソフトウェア工学研究会 卓越研究賞」を受賞しました【8月25日(金)】

令和5年8月25日(金)、早稲田大学にて開催された「ソフトウェアエンジニアリングシンポジウム2023」において、大学院理工学研究科数理情報プログラムの兼任教員で、先端研究・学術推進機構総合情報メディアセンターの阿萬裕久教授、川原稔教授が岡山県立大学の天嵜聡介准教授、横川智教准教授らとともに「2023年度情報処理学会ソフトウェア工学研究会 卓越研究賞」を受賞しました。

同賞は、ソフトウェア工学に関するトップジャーナルやトップカンファレンスへのチャレンジを奨励し、過去1年間(昨年度の7月から本年度の6月まで)にそれらに掲載された論文の著者へ授与されるものです。

阿萬教授らは共著で、当該分野のトップジャーナルの1つであるEmpirical Software Engineering (EMSE) に「An Automated Detection of Confusing Variable Pairs with Highly Similar Compound Names in Java and Python Programs」という題目(訳:Java及びPythonプログラムにおいて類似した複合名を持つ紛らわしい変数対の自動検出)で論文を発表しました。

従来から、プログラムにおける変数には、その役割を反映させた分かりやすい名前を付けることが望ましいと言われています。その一方で、阿萬教授らは個々の変数名は説明的で分かりやすくとも、他の変数とよく似た・紛らわしい名前になっているとかえってプログラムの可読性に悪影響を及ぼしかねないことに上記の論文内で着目し、字句的な類似度と意味的な類似度の2つの観点からこれを定量的に評価するとともに、それらを自動検出するツールの開発・公開を行いました。その研究成果が認められてトップジャーナルの1つであるEMSEに掲載され、今回の受賞に至りました。

表彰状

工学部工学科コンピュータ科学コース3年生の田中康介さんが情報処理学会第85回全国大会で学生奨励賞を受賞しました。【令和5年3月4日(土)】

令和5年3月2日(木)〜4日(土)に開催された「情報処理学会第85回全国大会」において、工学部工学科コンピュータ科学コース3年生の田中康介さんが「学生奨励賞」を受賞しました。

本賞は、情報処理学会全国大会の学生セッションで発表した学生会員の中から、座長裁量で優秀な発表に対して贈られる賞です。田中さんは「マスク言語モデルによる英文空所補充問題の解答能力に関する分析」という題目で、自然言語処理(分類・教育)のセッションにて発表し、学生奨励賞に選出されました。

論文題目:田中康介, 吉見菜那, 梶原智之, 内田諭, 荒瀬由紀. マスク言語モデルによる英文空所補充問題の解答能力に関する分析. 情報処理学会第85回全国大会, pp.707-708, 2023.
論文:https://moguranosenshi.sakura.ne.jp/publications/ipsj85-tanaka.pdf
受賞一覧:http://www.ipsj.or.jp/award/taikaigakusei.html

⼯学部⼯学科コンピュータ科学コース4年⽣の吉⾒菜那さんらの論⽂が⾔語処理学会第29回年次⼤会で委員特別賞を受賞しました。【令和5年3⽉17⽇(⾦)】

令和5年3月13日(月)〜17日(金)に開催された「言語処理学会第29回年次大会」において、工学部工学科コンピュータ科学コース4年生の吉見菜那さん、大学院理工学研究科(工学系)梶原智之助教、二宮崇教授らの論文が「委員特別賞」を受賞しました。

本賞は、言語処理学会年次大会において発表された論文のうち、「新規性」や「有用性」に関連する観点を審査員が独自に設定し、それらの観点で光るものに対して贈られる賞です。今回は579件の中から26件が表彰されました。

論文題目:吉見菜那, 梶原智之, 内田諭, 荒瀬由紀, 二宮崇. 問題タイプを考慮した英単語穴埋め問題の不正解選択肢の自動生成. 言語処理学会第29回年次大会, pp.217-221, 2023.
論文:https://www.anlp.jp/proceedings/annual_meeting/2023/pdf_dir/Q1-4.pdf
受賞一覧:https://www.anlp.jp/nlp2023/award.html

⼤学院理⼯学研究科の梶原智之助教らの論⽂が⾔語処理学会の論⽂賞に選ばれました。【令和5 年3⽉10⽇(⾦)】

⼤学院理⼯学研究科(⼯学系)梶原智之助教らの論⽂が、⼀般社団法⼈⾔語処理学会が発⾏する学術雑誌である⾃然⾔語処理の論⽂賞に選ばれました。本賞は、2022年に出版された同誌の論⽂の中から特に優秀と認められた論⽂に対して贈られる賞です。

本研究は、対話における「直接的な応答」と「間接的な応答」の間の⾔い換え現象に着⽬したものです。対話において⼈間は、しばしば⾃⾝の要求や意図を直接的に⾔及せず、⾔外に意図を含んだ間接的な発話によって表現することがあります。⼈間は対話相⼿から間接的な応答を受け取ったときに、これまでの対話履歴などの⽂脈に基づいて⾔外の意図を推測できます。しかし、深層学習に基づく対話モデルが⼈間と同様に間接的な応答を扱うことができるかどうかは明らかではありませんでした。

本論⽂では、対話履歴付きの英語の⾔い換えデータセットを構築し、ユーザ発話をより直接的に⾔い換えた表現およびより間接的に⾔い換えた表現の対を収集しました。そして、間接的な応答を扱う能⼒を評価するためのベンチマークタスクを設計し、最先端の対話モデルの性能を調査しました。また、ユーザの間接的な発話を事前に直接的な表現に⾔い換えることで、対話応答⽣成の性能が向上することを確認しました。

論⽂題⽬:⾼⼭隼⽮, 梶原智之, 荒瀬由紀. 対話における間接的応答と直接的応答からなる⾔い換えコーパスの構築と分析. ⾃然⾔語処理, Vol.29, No.1, pp.84-111, 2022.
論⽂:https://doi.org/10.5715/jnlp.29.84
受賞⼀覧:https://www.anlp.jp/award/ronbun.html

大学院理工学研究科の尾﨑良太郎教授が第30回源内大賞を受賞しました【3月25日(金)】

 令和5年3月25日(金)、平賀源内の偉業を称え、発明工夫の思想の啓発普及に努めるため、電気・通信技術等の研究や技術の向上のための発明工夫や研究を行った研究者を表彰する「源内賞」の選考において、本学・理工学研究科の尾﨑良太郎教授が「源内大賞」に選出されました。なお、最高賞である「源内大賞」は、2年ぶりの選出となります。
 尾﨑教授の研究課題名は「組み合わせのイノベーションによる材料研究と地域貢献~高電圧ケーブルから真珠まで~」であり、液晶に関する研究、高電圧・絶縁材料に関する研究、真珠に関する研究で三つの異なる分野での成果が高く評価されました。液晶に関する研究では、光通信やマイクロ波制御などの多くの新しい液晶光学素子に関する学術成果が評価されました。高電圧・絶縁材料に関する研究では、液晶分野で培った知見やシミュレーション技法などを取り入れることで、絶縁材料分野の未開領域の研究を展開していることが評価されました。真珠に関する研究では、従来、目視で選別していたピース貝の色を分光法によって波長を調べ、数値に基づきピース貝を選別することを可能としたことが評価されました。本技術は、すでに実際の養殖現場に利用されており、真珠の品質を向上させるために欠くことができないものとなっています。尾﨑教授の異分野の知見と技術を組み合わせる手法は、極めて独自性が高く、それぞれの分野の発展に大きく貢献すると期待されています。

工学部電気電子工学コース4年生の上嶋涼介さん・橋本綾香さん、大学院理工学研究科電子情報工学専攻博士前期課程2年生の高橋達也さんが令和4年度 電気学会・電子情報通信学会・情報処理学会 四国支部奨励賞を受賞しました

工学部電気電子工学コース4年生の上嶋涼介さん・橋本綾香さん、大学院理工学研究科電子情報工学専攻博士前期課程2年生の高橋達也さんが令和4年度電気学会・電子情報通信学会・情報処理学会 四国支部奨励賞を受賞しました。
 本賞は、電気学会・電子情報通信学会・情報処理学会の四国支部が合同で、四国内の大学・高等専門学校の特に優秀な学生に対し贈呈する賞です。
 表彰された皆さま、おめでとうございます。

左から 嶋涼介さん、高橋達也さん、橋本綾香さん

大学院理工学研究科博士前期課程1年生の片岡洋志さんが令和4年 電気学会 基礎・材料・共通部門大会で若手ポスター優秀賞を受賞しました【令和4年9月15日(水)】

 令和4年9月13日(火)~15日(水)に開催された「令和4年 電気学会基礎・材料・共通部門大会」において、大学院理工学研究科博士前期課程1年生の片岡洋志さんが「若手ポスター優秀賞」を受賞しました。本会議では、若手研究者によるポスター発表が37件あり、これらの中から優れた発表をした4名に対して本賞が授与されました。
 講演した論文の題目は「水柱電極を用いた誘電体バリア放電による食塩水中の大腸菌の殺菌」です。所属する高電圧工学研究室にて門脇一則教授の指導を受け、プラズマを利用した新しい殺菌技術の研究に取り組んできた成果をまとめたものです。

【研究紹介】尾崎良太郎先生(理工学研究科電子情報工学専攻)

工学に興味を持ったきっかけや先生になったきっかけは? 
 もともと、ガンダムの影響なのか、宇宙やロボットには興味があったのですが、特に理科が大好きだったとかではなく、普通の生徒でした。ただ、高校のテストで、他の科目より点が取れたことから物理が徐々に好きになっていきました。愛媛大学工学部に進学し、普通の学生生活を送り、学部卒業後にすぐに就職しました。時代は就職氷河期だったのですが、なんとか運良く、地元の会社に就職することができました。しかし、色々な事情があって半年で会社を退職しました。会社を辞めることを決める前は、「就職が難しい時代に急に無職になる…」とすごく悩みましたが、一度きりの人生だからと覚悟を決めて決断しました。退職後は、愛媛大学大学院に進学しました。大学院では、自分のお金で学費を払っていたので、お金がもったいないと思い、日々まじめに勉強・研究していたところ、先生から博士課程に進学することを勧められました。大学院卒業後は、会社に就職するつもりだったため、初めは進学する気はありませんでした。あるとき、自分の中で会社を辞めた時の覚悟はこんなものだったのかと思い直し、周囲ともよく相談した結果、大阪大学で博士課程に進むことを決断しました。その後、どうせ勉強するならとことん追求して研究者になろうと思い、現在に至っています。

尾崎良太郎先生


研究内容は?
 初めは液晶応用を主に研究していました。液晶と聞くと、ディスプレイを想像すると思いますが、それ以外でレーザーやアンテナなどほかの使い方を検討していました。今は、液晶の研究と並行して絶縁材料や炭素繊維強化プラスチック(CFRP)、真珠なども研究しています。

工学と真珠、想像もしない組み合わせですが、真珠の研究をしようと思ったきっかけは?
 真珠の研究に関わるとは、考えたこともありませんでした。外部から誘いを受けたことがきっかけです。その人は、ものすごい熱意のある方で、気が付いたら真珠の研究に巻き込まれていたという感じです。

具体的にどんな研究をされていますか?
 真珠は貝殻にあるアラゴナイト結晶層という層の厚さの違いで見た目が変化します。厚くなるにつれてオレンジ、ピンク、みどりと色が循環していきます。養殖真珠はピース貝と呼ばれる貝の外套膜の一部と核を母貝に入れることで生産しています。ピース貝の色が良いほど良い真珠ができると思ってもらって構いません。そのピース貝ですが、これまでは目視でピース貝の色を選別していましたが、我々はアラゴナイト結晶層厚を計測する装置を開発して、目視ではなく、スペクトルを調べ、数値に基づく選別を行えるようにしました。それによって、より正確にピース貝の色、すなわち、真珠の色をコントロールすることができるようになりました。
 また、真珠がなぜ美しい色を創り出すのか?ということにも興味があったので、真珠の輝きの原理なども研究しています。真珠のなかで光がどのように伝わるのかを考え、その物理現象をどうすれば数式で再現できるかを考えています。最初の大きな壁だったのは、光の散乱と干渉です。真珠のなかでは、光の散乱と干渉が起こっているので、これを式で表現すれば良いだけなのですが、干渉の計算では光を波として扱うのですが、散乱の計算では光を波として扱っては計算することは難しいのです。散乱では、波というより光のエネルギーに注目して計算します。では、光のエネルギーに注目して計算したら良いのでは?と思うかもしませんが、光のエネルギーに注目すると、今度は、光の干渉の計算ができません。この干渉と散乱の計算をうまく両立して計算させる方法を思いつくのに3~4年かかりました。その後は、その計算結果を使って真珠の外観を再現することに成功し、真珠の構造がこうなれば、こんな色を示すといった予測をすることが可能になりました。現在は、その技術をさらに発展させて光沢や映り込みを加え、本物の真珠かCGの真珠か区別がつかないほどのリアルなCGを作れるようになってきています。これらの研究を通して、少しでも真珠業界の発展に貢献できればと思っています。

真珠(一番右はプラスチックのビーズ) 中央にある金色の真珠は数万円以上の価値がある
真珠の説明をする尾崎先生


難しくあきらめたりすることは?
 難しいからといって、あきらめることはありませんでした。これは私の考えですが、この世の中に存在しているものは、たぶん全て計算できると思っています。だから、今できていない難しいことは、「きっとできるけど、今は分からないだけ。」と思っているので、やめようというようなは考えにはならないです。
 ちなみに、分からないことが分かることに変わるきっかけは、学生と話しているときが多いです。例えば、研究結果を見て学生と議論しているときに「あれ?もしかして、こうじゃない…?」と突然、閃きます。
 でも、やっぱり、研究で一番大事なのは、学生さんの突破力です。教員は総合力はあるのですが、学生ほど突破力をもっていません。なぜ学生が突破力があるか?ということの説明は難しいですが、やっぱり、若さが関係しているだと思います。突破力ってすごく大切で、全部を知らなくても良いんですよ。全般的な知識がなくても、一点集中でそこだけ突き破れる力があれば、それで構わないんです。私の研究室では学生が主となって研究しており、若い人の突破力で新しい発見が生まれています。

今後の展望は?
 今、全く想像ができないことをしたいです。今の自分の頭の中にあることの延長線上のものは、正直あまり面白くなくて、真珠の研究のように、まさか自分が関わると思っていなかったような未来予想ができないこと、想定外のことの方が面白いと思うので、そういった研究をしたいです。あとは、世の中にあるものを全て計算したいという思いもあります。いろいろなものを計算することが好きなのだと思います。
 今後、それをどう実現していくかということですが、私は研究室で「今できることをやらない」ということを心がけています。だから、学生さんの研究でも、その学生が絶対にできないことしかテーマにしません。いわば無茶ぶりです。人は、自分でもできそうなことをやりたいと思う傾向が強いです。ただ、自分ができそうなことばかり選んでやっていると、できそうなことの範囲からいつまでたっても出ることはできません。そもそも、成長というのは「できないことができるようになること」ですよね?だから、研究室では「できないこと」にしか取り組まないようにしています。さらにいうと、私の研究室では、私のできないことを学生さんに研究してもらうことが多いです。どうせ学生さんは何も知らないのだから、どうせだったら、私の知らないことを勉強してもらいます。例えば、私ができることを学生に教えると、単に私の劣化版ができ上がるだけです。それってあまり意味がないと思っています。そもそも、研究者というのは「誰もできない・知らないこと」に挑戦することが重要なことだと思っています。だから、学生さんにはその練習・経験をしてほしいと思い、研究室では誰も経験がないことを研究テーマとしてやってみてと依頼します。先ほども、言いましたが、人はできそうなことに手を伸ばしがちです。でもよく考えてみてください。自分が簡単にできることって、世間的に「すごいこと」だと思いますか?きっと、他の人でも簡単にできますよね。だから、今できることをやらない。できないことに挑戦することを、とにかく、それを大切にしています。今後も、今自分たちができないことにチャレンジし続けて、いつか、「今自分たちができないこと」が「世界の誰もできないこと」と同じ意味になるようにしたいと思っています。

※本記事は愛媛大学インターンシップの一環として作成されました。