大学院理工学研究科の井原栄治教授が2022年度「高分子学会賞(科学部門)」を受賞

愛媛大学大学院理工学研究科の井原栄治教授が、これまで行ってきた高分子合成化学分野での研究成果を評価され、「高分子学会賞(科学部門)」を受賞しました。

この賞は、公益社団法人高分子学会(会員数約8,000人)が「高分子科学、技術に関する独創的かつ優れた業績を挙げた会員を対象に、その功労を顕彰することを目的に制定」しているもので、1965年以来約60年近い歴史のある極めて重要な賞です。四国の大学からは井原教授が初めての受賞者となります。

受賞タイトルは「ジアゾカルボニル化合物をモノマーとする高分子合成手法の開発」であり、革新的な高分子合成法の開発に関する研究成果が高く評価されました。本研究は井原教授が2000年4月の愛媛大学着任後に着想、開始したもので、現在までの20数年間の成果は、高分子化学分野の代表的な国際学術誌Macromolecules誌(アメリカ化学会発行)に約20編の論文として掲載されており、国際的にも高く評価されています。それらの論文のうち、最近の4編は「愛媛大学研究成果ストックサイト」に取り上げられています。

詳細はこちらからご覧ください。(愛媛大学ウェブサイトへジャンプします。)

授賞式にて(左から高分子学会会長 伊藤耕三東京大学教授、井原先生)

 

共同研究で溶接用新素材を開発~埋もれアーク溶接用の新しいフラックス入りワイヤの特許を取得~

 このたび、愛媛大学工学部附属船舶海洋工学センターの水口 隆 准教授の研究グループは、四国溶材株式会社(本社所在地:愛媛県今治市、代表取締役社長 村上 裕一)と共同で、埋もれアーク溶接用の新しいフラックス入りワイヤを開発し、特許(第7211652号)を取得いたしました。
 愛媛県今治地区は、国内有数の造船産業集積地域であり、船体には多量の厚鋼板が使用されています。厚鋼板同士を接合する溶接工程は、造船施工の中で最も重要な工程の一つとされていますが、この溶接工程には多大な工数がかかるため、溶接の高能率化が望まれています。この問題を解決するため、一般的なアーク溶接と比較して、母材のより深い部分にアークによる入熱を与えることができる埋もれアーク(下図)という現象に着目し、この現象を利用した深い溶け込みと安定した溶接が可能な新しいフラックス入りワイヤを開発いたしました。これにより溶接パス数の低減が可能となり、高能率な溶接が可能となります。今後は、本開発ワイヤの今治地区造船関連企業へのテスト販売を行い、本格販売へとつなげる予定です。
 今後も溶接の高能率化に向けた研究開発に取り組み、今治地域の造船産業の国際競争力の強化および活力ある個性豊かな地域社会の形成に寄与します。
  

理工学研究科物質生命工学専攻博士前期課程1年生の福品絵梨さん・藤野兼史さんが日本セラミックス協会第35回秋季シンポジウムで優秀講演奨励賞を受賞しました【9月14日(水)】

 令和4年9月14日(水)に開催された「日本セラミックス協会第35回秋季シンポジウム」(オンライン開催)において、本コース修士1年生の福品 絵梨さん及び藤野 兼史さんがそれぞれ「優秀講演奨励賞」を受賞しました。受賞した講演題目は、福品さんが「B2O3含有生体活性ガラスの疑似体液中HAp形成能及び熱的特性の組成依存性」、藤野さんが「アルキメデス2球法で測定したアルカリケイ酸塩系ガラス融体の密度及び体膨張率」です。
 日々の熱心な研究の成果をポスターにまとめ上げ、その構成や伝え方、聴講者への質問に対する適切な受け答えが評価されて受賞に至りました。今後の彼らの活躍により一層期待しています。

(左から)藤野さん、福品さん

大学院理工学研究科の佐藤久子教授と山下浩准教授らの論文がCLAY SCIENCE誌の論文賞に選ばれました。【9月7日(水)】

 令和4年9月7日(水)、大学院理工学研究科の佐藤久子教授(理学系)と山下浩准教授(工学系)らの論文が、一般社団法人日本粘土学会が発行している英文学術雑誌であるCLAY SCIENCE誌の論文賞に選ばれました。
 本賞は、2021年度に同誌に発表された論文の中から最も評価されたものに贈られます。
 本研究は、2011年3月11日の福島第一原発の事故を受けて、土壌中のセシウムイオン形態解明に基づく土壌の浄化と減容化について 、粘土科学の立場から研究したものです。
 非放射性物質の多量のセシウムイオンを用いたモデル実験ではメカニズムや汚染土壌の浄化などを解析できても、実際の微量なセシウムイオンによる放射性汚染土壌での解明はかなり困難を極めます。時間が経過するにつれて、その困難さが増していることも事実です。
 このような状況の中で、物質・材料研究機構、東京大学、法政大学、NPO法人環境測定品質管理センター、愛媛大学では環境研究総合推進費の支援を受けて、研究を進めてきました。このうち愛媛大学では、モデル土壌を用いてマイクロウエブによる連続処理方法の検討を行いました。この論文は現段階の土壌中のセシウムの動態とセシウム除去のプロセスフローとその効果を示し、高い評価を得ることができました。

論文題目:“Removal of cesium ions from radioactively contaminated soils using microwave treatment “ Clay Science, 2021, 25, 7-11.
著者:Kenji Tamura,Hiroshi Yamashita, Toshihiro Kogure, Masatoshi Morita, Akihiko Yamagishi and Hisako Sato

大学院理工学研究科物質生命工学専攻博士前期課程2年生の坂田健太郎さんが第27回溶接学会四国支部講演大会で優秀発表賞を受賞しました【3月9日(水)】

 令和4年3月9日(水)に開催された「第27回溶接学会四国支部講演大会」(オンライン開催)において、大学院理工学研究科物質生命工学専攻博士前期課程2年生の坂田 健太郎さん (指導教員:大学院理工学研究科(工学系)水口 隆 准教授)が、「優秀発表賞」を受賞しました。受賞した講演題目は「パルスガスMAG溶接法における溶滴移行形態に及ぼす溶接条件の影響」です。
 坂田さんの研究グループでは、炭酸ガスアーク溶接におけるスパッタ低減のため、二重のシールドガスで溶融池を大気から保護することができる構造のノズルを用い、内側のノズルにArガスを間欠的・周期的に添加し、アーク柱内のガス組成を周期的に変化させる「パルスガスMAG溶接法」を開発し、特許を取得(特許第6711971)しています。この溶接法を用いてAr添加条件を適切に選択すれば、Ar添加1周期に対し、アーク柱内のガス組成がAr主体である期間に1溶滴だけの落下(同期)とすることができ、スパッタを低減することが可能です。アーク溶接では、溶接する部材や方法に応じて様々な溶接条件を用いることから、坂田さんは、同期条件に与える溶接条件の影響について解明しました。本研究結果は、パルスガスMAG溶接の社会実装に大きくつながります。
 坂田さんの発表の際の声量と話す早さ、スライドのわかりやすさ、質疑応答での適切な回答及び研究成果の社会的波及効果が評価され、今回の受賞に至りました。

賞状
受賞した坂田さん
 

【化学・生命科学コース】在学生インタビュー

化学・生命科学コース

化学・生命科学コースには魅力がたくさん!
3人の在学生にインタビューしてみました。

Q.化学・生命科学コースを選んだ理由は?


Aさん

ありきたりかもしれないけど、
高校生の時に化学が得意で、
もっと突き詰めて学んでみたかったから。


Bさん

ありきたりでもいいんじゃない? 

僕ももともと化学が好きで、
愛媛大学の化学・生命科学コースでは幅広く化学を学べる
っていうのを魅力に感じたんだよね。


Cさん

2人とも「化学が好き」っていうピュアな動機だったんだね。

私の場合は、化学そのものというより化粧品の開発に興味があって、
研究開発の道が開ける化学・生命科学コースを選んだよ。

ここではものづくりに関して実践的な知識や技術を学べると知って、
「ここだ!」と思ったな。


Aさん

私の後輩には1年生のときの授業を聞いて化学が面白いと思って
このコースを選んだ
人がいるよ。

授業で先生が言っていたんだけど、世の中の全てのモノは分子からできていて、
機械とか材料とか電子部品とか、すべてに分子が関わっているんだよね。

スマホのタッチパネルとか、もちろん薬を作るのとか、水をキレイにするのも化学。
そういう話を聞いて化学を選んだって。


Bさん

まあ、いろんな動機の人がいるよね。
なんとなく選んだっていう人もいるし。

けど、このコースで化学を勉強してて
ツマラナイって言ってる人には会ったことがないな。

研究室での実験の様子

Q.化学・生命科学コースで何が学べるの?


Cさん

このコースに入ってまず思ったのが、化学ってすごく広いなー
ということ。

たとえば科目だけでも
高分子化学生化学有機化学物理化学分析化学無機化学
科学技術英語化学工学、などなど、
その他にも化学に関わる幅広い範囲の授業を受けることができるよね。

分子が関わっているところはぜんぶ化学って言えるから、
高校の物理とか生物なんかも深く関わっているところが多いし、
化学に関する英語の文章を読む授業もある。


Bさん

たしかに授業では幅広く学べるね! 

実験の授業もあって、
実際に実験器具を用いて化合物を作ったり分析したり、
実験レポートを書いたり、
将来につながる技術も身につけることができたと思う。

それに、3回生の後期からは
最終的に学びたい分野の研究室に所属して、
より専門的な知識を得ることもできる。

授業では広く、研究室では深く学んでるっていうカンジかな。


Aさん

授業だと、化学メーカーで働いている方が
大学に出向いて企業紹介をしてくれる
こともあったね。
企業の方から直接お話を聞けたのは貴重な体験だった。

そういった様々な授業を通して、
いろいろな分野に化学が繋がっていることを知ることができて、
将来やりたいことの視野も広がったな。

Q.印象に残っている授業や実験は?


Aさん

私は高分子化学の実験で、
接着剤やスライムを作った実験が印象に残ってる! 

世の中にある素材が、本当に化学の力で生み出されているんだと
実感できる授業だったし、
スライムを分子レベルで理解する日が来るなんて
思ってもみなかった。


Bさん

僕は愛媛県にある化学メーカーへ
工場見学に行った
ことが印象的だった。

仕事内容とか、製品の製造過程なんかを
実際に自分の目で見ることができて、
自分が将来働くイメージを膨らませることができたと思う。

みんなでバスに乗ってワイワイ行ったのも、
遠足っぽくて楽しかったよね。


Cさん

私は科学技術英語とかの英語の授業
複数回あったことが印象に残ってるよ。

将来、英語の論文を自分で読む機会もあるし、
とてもためになる授業だった。

研究室での実験の様子

Q.どのような就職先があるの?


Bさん

化学メーカーはもちろん、
化粧品メーカー製薬会社MRになったり。

工学科ではこのコースでだけ高校理科の教員免許を取得できるし、
そうすれば先生にもなれるね。


Aさん

そうだね。

ちなみに私も
念願の化学メーカーでの研究開発職が決まりました!


Cさん

おめでとう! 

これから実際に自分の手で製品を作っていくのは
ワクワクするね。


Bさん

大学で化学への興味が深まって、
大学院へ進学する人も半数くらいいるよね。

大学院ではより専門的な知識や技術を
しっかり身に付けることができるのは魅力的だな。

Q.化学・生命科学コースに入ってよかったことは?


Aさん

やっぱり、幅広い選択肢があったことがよかったと思う。

化学という広い分野の中で何を自分の専門にするのか、
授業や実験を通してよく考えることができる点は魅力的だな。


Bさん

私学と比較すると
学生一人当たりの先生の人数が多いことも推しポイント! 

研究室に配属した後も、
手厚くご指導いただけて嬉しいです。


Cさん

私は毎日が充実していたことが良かったな。

幅広く化学のいろんな分野があるので、
知識を吸収するのに勤しんだり、実験レポートに明け暮れたり、、、

正直、ちょっとタイヘンだなと思うこともあったんだけど、
ひとつひとつを乗り越えていって、
しっかり勉強できたという自信になったな。

就職先でもその知識を活かすことができるのは心強い!

【材料デザイン工学コース】受験生へのメッセージ

 材料デザイン工学コース 3回生 芝田翔真

 私が材料デザイン工学コースを選択したきっかけは高校2年生の夏休みに参加した愛媛大学オープンキャンパスです。このとき、初めて材料工学の存在を知りました。オープンキャンパスに参加する前にも、世の中の物が原子や分子など、想像できないほど小さな粒子で出来ていることの奇妙さに興味を持っていましたが、オープンキャンパスに参加したことで大学では材料と構成粒子の因果関係を勉強したいと思い、進路として材料デザイン工学コースを選択しました。

 実際、本コースでは、原子レベルのミクロな視点で材料を勉強します。しばしば「組成-構造-特性」というキーワードが出てきます。これは何の原子がどのように配列しているかで材料特性が決定されることを意味しています。この視点で材料を評価するのがおもしろいです。ここで、材料といっても金属・無機・有機・セラミックス材料と多岐にわたります。2回生でコース選択があり、材料デザイン工学コースに進めば、上記の各種材料について専門的な授業を受けることができます。私の中で最も印象に残っている授業は「金属強度学」です。この授業では金属材料に添加元素を加えたり、組織を微細化したりすることで材料強度を高くできるということを知りました。身近な強度の話題がミクロな視点で説明されるところが興味深かったです。その他にも金属の微細組織や熱処理に関する授業が印象に残りました。私は現在3回生ですが、3回生の後期からは研究室に仮配属され、4回生で行う卒業研究の準備に入っています。これまで受けた授業の中から、自分の気に入った材料を選択して、卒業研究ができるのも大きな魅力です。

 大学の授業では、しばしば課題も出されます。高校とは違いレポートが多く課されます。インターネットや図書館で資料を探し、レポートにまとめる作業は時間がかかりますが、その分知識が整理され定着します。力を注いだ分、社会に出てからも必要となる実力が身につきますので、私はペーパーテストよりもレポートが気に入っています。特に私は実験レポートの考察にはこだわり、力を入れました。これまでは、授業で行う学生実験を行ってきましたが、今後、4回生から行う本格的な卒業研究が楽しみです。

 さて、受験生の皆さんが考える大学生活はどのようなイメージでしょうか。私は高校生の時、大学生は忙しそうなイメージでしたが、案外自由に使える時間がたくさんあります。私は大学から学業以外の時間で新しいことを始めたいと思い、ヨット部に所属しています。ヨットは海上で帆を張り、風の力のみで進みます。大自然の中での活動は気持ちがいいし、本当に楽しいです。活動日は土日なので、充実した週末を毎週過ごせています。学業以外のことで、大学生のうちにしかできないことを始めるのも大きな楽しみなのではないでしょうか。

2021年度四国インカレ団体戦の出艇前の集合写真(著者は後列最左)

大学院理工学研究科の水口 隆 准教授及び小原 昌弘客員教授が一般社団法人溶接学会 溶接法研究委員会「令和2年度溶接アーク物理研究賞」を受賞しました。

 このたび、愛媛大学大学院理工学研究科の水口 隆 准教授及び小原 昌弘 客員教授の研究グループは、川田工業株式会社および株式会社神戸製鋼所と共同で、一般社団法人溶接学会溶接法研究委員会の「令和2年度溶接アーク物理研究賞」を受賞いたしました。

 同研究グループでは、過日、溶接部を大気から保護するための炭酸ガスからなるシールドガス中に、空気砲の様にパルス状にした微量のアルゴンガスの塊を1秒間に50回程度投入することによって、溶加材の溶融状況を小滴化し、スパッタの発生を大きく低減させる新しい溶接技術を開発し、特許を取得(特許6711971)しました。この溶滴移行制御が可能なアルゴンガス添加条件範囲を検討した「パルスガスMAG溶接法の開発-溶滴移行制御のためのArガス添加条件の実験的検討」と題した共同研究内容が、このたび、一般社団法人溶接学会溶接法研究委員会において溶接における物理現象の解明と溶接技術開発に関して高く評価されたため、受賞に至りました。

 愛媛大学工学部及び理工学研究科では、地域産業と大学の研究との連携をより一層強化し、地域産業の課題解決に貢献していく体制を構築中です。今後も溶接の高能率化に向けた研究開発に取り組み、地域産業の課題解決と地域産業の国際競争力の強化に寄与します。

賞状と楯

(Webオープンキャンパス)材料デザイン工学コース個別相談コーナーの事前申込みの開始について

Webオープンキャンパス

材料デザイン工学コース

個別相談コーナーの事前募集

今年度のWebオープンキャンパスにおいて、材料デザイン工学コースでは、ZOOMを用いたオンライン個別相談を実施いたします!

相談時間はおひとり20分で、先着20名までとさせていただきます。

ご希望の方は以下のURLもしくはQRコードにアクセスしていただき、事前申込みを行ってください。申込の際に記載していただいたメールアドレスに、ZOOMにアクセスするためのURLをお送りいたします。

ぜひお気軽に申し込みください。お待ちしております。

 

日時:8/9(日)10:00~16:20

   (おひとり20分、先着20名まで)

申込URLhttps://forms.gle/z2BqEm5Zt5TNnEbN8

申込QRコード

申込締切2020年8月2日(日)