遺伝暗号の読み取りを強化するtRNAのメチル化の仕組みを 構造解析と生化学解析によって解明

 化学生命科学コースの堀 弘幸教授、平田 章講師、大学院生の岡田圭祐さん、吉井一晃さん、学部生の白石裕之さんの研究グループは、高エネルギー加速器研究機構・物質構造科学研究所の清水信隆教授のグループと共同で、tRNAの遺伝情報読み取り部位(アンチコドン)のメチル化酵素複合体・Trm7-Trm734の構造解析を行ない(図)、生化学解析を併用して、どうして、このタンパク質複合体が特定のtRNAのみに作用するのか、またTrm734はメチル基転移反応でどういう役割を持っているのかを解明しました。tRNAのアンチコドン一文字目のメチル化は、遺伝暗号の読み取りを強化し、タンパク質合成でのエラー頻度を低下させます。ヒトでは、このメチル化の欠損は、X染色体リンク精神発達遅滞を引き起こします。したがって、本研究はタンパク質合成の仕組みの一端を解明したものですが、ヒトの遺伝形質の発現の理解や新たな遺伝子診断法の開発にも基本情報を与えるものです。
 本研究の成果は、2019年10月5日、Nucleic Acids Research(IF=11.147)電子版に先行掲載されました。また、全学HPのプレスリリースでも紹介されました。

URL:https://www.ehime-u.ac.jp/data_relese/data_relese-105529/