大学院理工学研究科博士後期課程2年生のDankyi Benedicta ObenewaaさんがThe 23rd Awaji International Forum on Infection and Immunity(第23回あわじ感染と免疫国際フォーラム)において「Poster Award」を受賞しました【9月12日(金)】

本フォーラムは令和7年9月10日(水)~12日(金)、淡路夢舞台国際会議場にて開催され、日本を代表する感染症学・免疫学の国際学会として20年以上の歴史を誇ります。最優秀ポスター発表に贈られる本賞は、参加者の投票によって決定され、今回、大学院理工学研究科博士後期課程2年(プロテオサイエンスセンター(PROS)マラリア研究部門)の Dankyi Benedicta Obenewaa(デンチ ベネディクタ オベネワー)さんを含む2名に授与されました。

Dankyiさんの発表演題は、“Antibody Response to PfEMP1 Domains Associated with Clinical Malaria Protection in Burkinabe Children Under Five”(ブルキナファソの5歳以下の子供における臨床マラリア抵抗性に関連するPfEMP1ドメインの抗体応答)であり、高島英造教授の指導のもと取り組んだ研究成果です。

マラリア原虫に繰り返し感染することで、症状を示さず重症化や死亡に至らない「マラリア抵抗性」が成立します。この事実はマラリアワクチンの理論的可能性を支える根拠の一つです。しかし、マラリア原虫は約5,400種類のタンパク質を持ち、抵抗性に寄与する抗体の標的分子を特定することは容易ではありません。私たちは、原虫感染赤血球の表面に発現する多様性に富むタンパク質PfEMP1に注目し、271種類すべてを世界に先駆けてコムギ無細胞系で発現させることに成功しました。

流行地では通常、5歳前後までにマラリア抵抗性が獲得されますが、反対に、5歳未満の子供たちはマラリアの主要な犠牲者となっています。Dankyiさんは、ブルキナファソの5歳以下の子供の血液サンプルを用いてPfEMP1に対するIgG、IgM抗体応答を測定し、マラリア臨床データと比較解析することで、マラリア抵抗性に重要なPfEMP1抗原を網羅的に特定することに成功しました。

この成果は、マラリア抵抗性の分子メカニズムの解明に大きく近づくとともに、次世代マラリアワクチン開発に向けた新たな道を切り拓くものです。今回の受賞は、博士課程の学生による研究成果が国際的に高く評価された証であり、今後のさらなる活躍が期待されます。

受賞したDankyiさん

大学院理工学研究科博士後期課程3年生の光井和輝さんが「第58回(2025年春季)応用物理学会講演奨励賞」を受賞しました【9月7日(日)】

令和7年9月7日に、大学院理工学研究科 機能材料工学分野 博士後期課程3年生の光井和輝さんが、第58回(2025年春季)応用物理学会講演奨励賞を受賞しました。

「応用物理学会講演奨励賞」は、応用物理学会の春秋講演会において、応用物理学の発展に貢献しうる優秀な一般講演論文を発表した若手会員の功績を称えることを目的に設けられた賞です。一般口頭講演総数の1.5%以内を限度として選び、推薦理由を付して理事会に推薦されます。

今回光井さんが受賞した講演題目は、「フッ素添加で実現するFe3O4−Bi2O3−B2O3ガラスの室温n型伝導」で、第58回(2025年春季)応用物理学会にて光井さんが発表しました。

一般に、絶縁体として知られているガラスに電子ドーピングができることを示し、すべて汎用元素から成る組成で、半導体並の電気伝導性を示す酸化物ガラスを実現したことが主な受賞理由です。

 

【プレスリリース】二次電池の電極内で分子イオンPF6-は単原子イオンLi+よりも高速に移動する【8月22日(金)】

「分子イオン電池」の急速充放電特性のポテンシャルの高さを実証

愛媛大学理工学研究科吉村彩特任講師(研究当時、現:大阪公立大学 講師)と御崎洋二教授は、国立研究開発法人産業技術総合研究所(以下、産総研)と大阪公立大学工業高等専門学校と共同で、二次電池の電極内において、分子性イオンであるヘキサフルオロリン酸イオン(PF6)が単原子イオンであるリチウムイオン(Li+)よりも速く移動することを実験的に明らかにしました。

充放電により繰り返し利用できる二次電池として現在広く使われているリチウムイオン電池では、Li+を電荷担体として用います。しかし、イオン半径の小さい単原子イオンであるLi+は電解液中で溶媒分子と強く相互作用するために移動速度が低くなることが知られています。一方、分子性のイオンは溶媒との相互作用が弱く、電解液中はもとより固体状の電極内においてもLi+に比べて動きやすいと予想できます。しかし、分子イオンであるPF6は陰イオンであるため、その動きやすさを陽イオンであるLi+と直接比較することはできず、その検証は困難でした。

今回、陽イオンと陰イオンのどちらの授受も可能という特徴を持つ高分子材料を電極として用いることで、Li+とPF6の動きを評価しました。その結果、固体状の電極内においても、分子性のイオンであるPF6の方が単原子イオンであるLi+よりも速く動くことが確かめられました。この結果から、産総研が考案した分子性のイオンを電荷担体として用いる「分子イオン電池」は、リチウムイオン電池などに比べて急速充放電特性に高いポテンシャルを持つことが期待されます。この研究成果の詳細は、2025年7月25日に「ChemSusChem」に掲載されました。

詳細はこちらからご覧ください。(愛媛大学HPへジャンプします。)

大学院理工学研究科の中江友哉さんが一般社団法人 軽金属学会第148回春期大会でExcellent EnglishPoster Awardを受賞しました【5月17日(土)】

令和7年5月17日(土)、大学院理工学研究科理工学専攻産業基盤プログラム(機能材料工学)博士前期課程2年生の中江友哉さんが、北九州国際会議場で開催された一般社団法人軽金属学会第148回春期大会において、英語のポスター発表を行い「Excellent English Poster Award」を受賞しました。

今回受賞した講演題目は「Effect of oxygen addition on the phase transformation in Ti-Nb alloys during heating」です。

「Excellent English Poster Award」は、軽金属学会の春期および秋期大会におけるポスターセッションにおいて優れた発表を行い、今後の発展が期待される35歳以下の研究者に贈られる賞です。

中江さんはチタン合金の構造変化に対する酸素の添加に関する発表を英語で行い、その内容が高く評価され、今回の受賞に至りました。

賞状を手にする中江さん

大学院理工学研究科の光井和輝さんがBest Oral Presentation賞を受賞しました【3月31日(月)】

令和7年1月24日(金)にInternational Congress on Glass 2025 (コルカタ・インド)において、大学院理工学研究科機能材料工学分野博士後期課程2年生の光井和輝さんが行った「Iron-Containing Oxide Glasses with n-type Conductivity」と題した発表が、令和7年3月31日(月)にBest Oral Presentation賞を受賞しました。

International Congress on Glassは、3年毎に開催される国際ガラス会議です。
上部組織(International Commission on Glass)は、1933年に英、独、伊、西、仏、米の6ヶ国によって設立され、現在では欧州20ヵ国、南北アメリカ5ヶ国、アジア5ヶ国を代表する学協会と、10の企業や組織が加盟したガラスの科学と技術に関する国際的な協会となりました。

酸化物ガラスは本来絶縁体として知られていますが、酸素主体のガラスネットワークにフッ素を加え、さらに酸化鉄を添加した汎用元素から成る組成で、半導体並の電気伝導性を示す酸化物ガラスを提案したことが、今回の主な受賞理由です。

賞状
賞状を持つ光井さん

大学院理工学研究科の山田龍弥さんが2024年度溶接学会奨学賞および第30回一般社団法人溶接学会四国支部講演大会優秀発表賞を受賞しました【2月20日(木)、3月7日(金)】

令和7年2月20日(木)、大学院理工学研究科機能材料工学分野博士前期課程2年生の山田龍弥さんが、「ソリッドワイヤを用いた高電流GMA溶接における溶滴移行形態の制御およびスパッタ発生量の低減に関する研究」で、2024年度溶接学会奨学賞を受賞しました。

山田さんの研究グループでは、炭酸ガスアーク溶接におけるスパッタ低減のため、二重のシールドガスで溶融池を大気から保護することができる構造のノズルを用い、内側のノズルにArガスを間欠的・周期的に添加し、アーク柱内のガス組成を周期的に変化させる「パルスガスMAG溶接法」を開発し、特許を取得(特許6711971)しています。
この溶接法を用いてAr添加条件を適切に選択すれば、Ar添加1周期に対し、アーク柱内のガス組成がAr主体である期間に1溶滴だけの落下(同期)とすることができ、スパッタを低減することが可能です。アーク溶接における溶接作業の効率化のためには、高電流化が有効であることから、山田さんは、高電流GMA溶接におけるスパッタ発生量に低減にむけたシールドガスの添加条件と溶接条件の最適化を試みました。
本研究結果は、パルスガスMAG溶接を用いた高能率な溶接方法の開発とその社会実装に大きくつながります。

山田さんの、研究に対する取り組みの姿勢とこれまでの研究成果が高く評価され、今後の溶接・接合研究者・技術者としての発展が期待できることから、今回の受賞に至りました。

また、令和7年3月7日(金)、第30回一般社団法人溶接学会四国支部講演大会において上記の研究成果を発表し、優秀発表賞を受賞しました。
山田さんの発表の際の声量と話す早さ、スライドのわかりやすさ、質疑応答での適切な回答および研究成果の社会的波及効果が評価されたため、今回の受賞に至りました。

受賞した山田さん(左の盾が溶接学会奨学賞、 右の賞状が溶接学会四国支部講演大会優秀発表賞)

大学院理工学研究科の吉井サラさんが第47回 日本分子生物学会年会において「MBSJ2024ポスター賞(MBSJ-EMBO Poster Award)」を受賞しました【11月27日(水)~11月29日(金)】

令和6年11月27日(水)~令和6年11月29日(金)、福岡国際会議場とマリンメッセ福岡で開催された「第47回 日本分子生物学会年会」において、大学院理工学研究科博士前期課程1年生でプロテオサイエンスセンター(PROS)無細胞生命科学部門の吉井サラさんが「MBSJ2024ポスター賞(MBSJ-EMBO Poster Award))」を受賞しました。このポスター賞には、1385件のエントリーがあり、ポスター賞授賞演題は41件(全エントリー演題中3%)でした。

吉井さんの発表演題は「近位依存性ビオチン標識酵素AirIDとコムギ無細胞系ナノディスク法による膜タンパク質複合体解析」で、PROSの澤崎達也教授の指導の下で取り組んだ成果です。 本研究は、近接ビオチン化酵素AirIDとコムギ無細胞系ナノディスク法を用いて従来解析が困難であった膜タンパク質の相互作用解析技術を開発しました。この研究成果が高く評価され受賞に至りました。

受賞した吉井サラさん
 

大学院理工学研究科理工学専攻機能材料工学講座の岡野聡助教がICNME 2024(The 11th International Conference on Nanomaterials and Materials Engineering)でBest awardを受賞しました【12月12日(木)】

令和6年12月11日(水)から14日(土)に掛けてインドネシアで開催された「ICNME 2024(The 11th  International Conference on Nanomaterials and Materials Engineering)」において、機能材料工学講座の岡野聡助教が「Best award」を受賞しました。

受賞した講演題目は「Effect of Oxygen Partial Pressure in Heat Treatment Atmospheres on Wettability of Titanium Surface」です。
チタン基板を異なる雰囲気下で熱処理を行った際、表面濡れ性にどういった影響を与えるかについての内容が高く評価されました。

講演会場で受賞する岡野 助教
賞状

大学院理工学研究科の森玲香さんが「令和6年度 日本魚病学会秋季大会」において「優秀ポスター発表賞」を受賞しました【9月8日(日)】

令和6年9月7日(土)~9月8日(日)、日本獣医生命科学大学キャンパスで開催された「令和6年度日本魚病学会秋季大会」において大学院理工学研究科博士前期課程2年生でプロテオサイエンスセンター(PROS)無細胞生命科学部門の森玲香さんが「優秀ポスター発表賞」を受賞しました。

森さんの発表演題は「AirIDによるビオチン化を介したマダイイリドウイルス(RSIV)に対する受容体の探索」で、PROSの澤崎達也教授の指導の下で取り組んだ成果です。

本研究は、PROSが独自に開発した近位依存性ビオチン化酵素AirIDを用いたビオチン標識法により、細胞表面に局在するRSIVメジャーカプシドが結合する未知の受容体タンパク質の同定の可能性が示されました。このような研究成果が高く評価され受賞に至りました。

受賞した森玲香さん

理工学研究科の藤田柊さんおよび堀弘幸教授の論文がJournal of Biological Chemistry誌に掲載されました【6月27日(木)】

理工学研究科の博士前期課程2回生の藤田柊さんが第一著者で、理工学研究科の堀弘幸教授が責任著者として執筆した論文が、2024年6月27日にJournal of Biological Chemistry誌電子版に先行掲載されました。

本研究は、愛媛大学と徳島大学、岐阜大学の研究グループが共同で、古細菌tRNAの立体構造維持に重要な修飾ヌクレオシド・アーケオシンの合成経路の第2段階目酵素ArcSの生化学的性質を解明し、この酵素がヌクレオシドにさえも作用する前例のない活性を持つことを発見したものです。

本研究の成果は愛媛大学の研究成果ストックサイトでも紹介されておりますので、是非ご覧ください。

【愛媛大学研究成果ストックサイト】
「ヌクレオシドにも作用するtRNA修飾酵素を発見」(※愛媛大学HPへジャンプします)

【プレスリリース】(7/24付公開)
「ヌクレオシドにも作用するtRNA修飾酵素を発見」(※愛媛大学HPへジャンプします)

【論文情報】
タイトル:“ArcS from Thermococcus kodakarensis transfers L-lysine to preQ0 nucleoside derivatives as minimum substrate RNAs.”
著  者:Shu Fujita, Yuzuru Sugio, Takuya Kawamura, Ryota Yamagami, Natsuhisa Oka, Akira Hirata, Takashi Yokogawa, and Hiroyuki Hori,
掲載誌 :Journal of Biological Chemistry, June 27, 2024.
DOI   : https://doi.org/10.1016/j.jbc.2024.107505