工学部教育貢献賞

工学部教育貢献賞推薦書
コース名:応用化学コース
推薦対象者:林 実 職名:准教授
推薦者(コース長):高井 和幸

表彰の対象となる教育活動の内容と推薦の理由

 氏は有機化学の講義・実験において,学生の理解度向上のためのFD活動によりコースの学生教育に大きく貢献している。また,城北地区安全衛生委員として安全衛生活動に取り組み,本年度新設の大学院講義「化学物質管理の基礎知識」の担当や安全衛生学生委員への研修を担当するなど,工学部・理工学研究科の安全衛生教育活動に大きく貢献している。

 講義では,詳細な板書に加え小テストや宿題形式の演習を利用しながら内容を深く理解させるよう努めている。有機系科目は受講者が100名を超えることが日常であり,その全員に対して小テストや宿題を課し,解説付きで答案を返却することは,毎回授業の後に全員分の採点・添削を行う必要があり膨大な労力がかかるが,このようなきめ細かい教育の結果として,講義アンケートの結果からは,満足度,教員の熱意やわかりやすさの項目において,ほぼ毎年80~90%超の高い評価を継続している。

 学部学生実験では,有機化学に関する部分全般を通年にわたって週2回各4コマ分担当し,基礎的実験技術から実践的実験実習,レポート作成,プレゼンテーションおよび安全衛生に至る実験化学の基礎スキルを育成するよう努めている。現在実施している有機化学の実験内容は,座学の講義とのリンクも重視しながら,前期に基礎実験技術を習得させ,後期にその応用となる実践的合成実験を組み合わせた全く新しい実験メニューを,氏がカリキュラム変更時に独力で構築したものであり,これに伴い実験に関する基本技術の説明を含む詳細な実験テキストも作成している。さらに実験法は「読み聞き」するだけよりも実際に取り扱い法を「見る」ことが理解と技術習得に重要であるとの考えから,有機化学実験を最初に実施する前に,全ての基本操作を学生全員の前で「実演」している。一つ一つの操作法に込められた意味から原理まで説明しながら実演することで,履修学生が実験操作法を正しく理解し,実験に臨めるよう尽力している。また,本年度からは実験の安全講習及び実験理解度向上のためにmoodle2を使ったe-Learningのコンテンツを氏自ら作成し活用している。このようなきめ細かい実験指導を継続してきた結果,多くの学生の安全衛生意識・実験スキルの向上につながっている。

 以上,氏の講義・実験におけるFD活動の成果は著しく学生の学修に貢献している。よって、工学部教育貢献賞に氏を推薦します。