工学部教育貢献賞

工学部教育貢献賞推薦書
コース名:情報工学コース
推薦対象者:小林 真也,黒田 久泰,遠藤 慶一 職名:順に教授,准教授,講師
推薦者(コース長):高橋 寛

表彰の対象となる教育活動の内容と推薦の理由

 「知識活用とコンピテンシー育成を目的としたアクティブラーニングを促すPBLの導入と改善の取り組み」

 知識伝達を中心とした座学教育に加え,学生が自ら考え,行動する活動を通して,能力の向上,育成を行うアクティブラーニングが注目されている.特に,PBLは,知識を活かす能力を高め,知的行動力の育成に効果的な教育手法として広く認知されだした.

 一方,文部科学省事業 enPiT(分野・地域を越えた実践的情報教育協働ネットワーク)は,平成24年度から5年間の期間,情報技術を高度に活用して,社会の具体的な課題を解決することのできる人材の育成を目指し,複数の大学と産業界による全国的なネットワークの形成,実際の課題に基づく課題解決型学習(PBL)などの実践的な教育を実施・普及することを目的とした事業である.

 標記3名の教員は,情報工学科,情報工学コース,ICTスペシャリスト育成コースにおけるPBLの実施,ならびに高度化を目的として,この事業の当初から,ビジネスアプリケーション分野の教育推進を行うグループに加わり,筑波大学で開催されている合宿型PBLやワークショップに参加してきた.また,情報処理推進機構や情報処理学会等が行うシンポジウムなどに参加し,他の大学,機関の関係者とも人的ネットワークを構築し,教育改善に資する情報の収集に努めてきた.これらの取り組みの成果は,これまでにも,学部のPBL型教育である「システムデザイン」,情報工学コースにおける「情報工学特別演習I,II」,並びに,ICTスペシャリスト育成コースにおける各種PBL演習の高度化に活かされている.また,平成26年度には,そこで得た実践的教育の知見やノウハウを活用し,愛媛大学において「PBL@EHIME」をビジネスアプリケーション分野の合宿型PBLとしては拠点大学以外で初めて企画開催した.主に中四国地区の大学の参加連携を目的として,山口大学と徳島大学からの学生7人を含め,計12人の学生が参加した.チーム単位で開発したアプリを用いての競技性のある野外活動を取り入れるなどの工夫をし,単なる講習に留まらず,グループワークとして充実した実践的教育の展開を行っている.このPBLでは,FSS理論を用いたグループ分け,コンピテンシールーブリックを活用した事前事後の自己診断シートによる振り返り活動など,単なる知識活用に留まらない教育への取り組みとして,学外からも注目されている.

 参加した学生へのアンケートからも,技術的な知識を得ただけではなく,コンピテンシーの向上,また,自身の知識,能力の振り返りや,求められる知識やコンピテンシーの必要性の理解や目標の自覚に繋がったなどの声が聞かれた.

 さらに,大学間連携による取り組み成果を,学内での教育に取り入れるなど,積極的な試みの実施と成果の反映を持続的に行っている.

 このように,候補者3名は本学の教育に多大な貢献をしており,工学部教育貢献賞を受賞するに値すると判断し,受賞候補者として推薦致します.