工学部教育貢献賞

工学部教育貢献賞推薦書
コース名:応用化学コース
推薦対象者:渡邉 裕 職名:教授
推薦者(コース長):井原 栄治

表彰の対象となる教育活動の内容と推薦の理由

 氏の有機工業化学の講義では、学生の興味を引き出し自ら考えながら議論を交えるよう創意工夫を施している。この科目の基本は化成品の製造プロセスやその性質・用途などの全般について取り扱うものである。この内容を従来の教科書通りに教授するやり方を採っていない。すなわち、この講義に際し学生自らが直接製品開発に関わる立場とユーザの立場の両方の立場に立つことを強調する。このイメージで講義にかかわることで興味が増強し自ら考え物事に対して適切な判断ができるよう仕組んでいる。そのため、質問を投げ掛けた時には互いに意見を出しあい議論が進められる。講義内容についても、理工系の教育科目であっても人類の文化検証を底辺に据え、人類の歴史的な流れを概観しつつ産業界と消費社会のあり方について考えるよう工夫されている。

 また、本講義内容に即して、各自でヒット商品を取上げ、その内容を調べてヒットの要因を考えることと改良点の指摘を行い改良品の提案をすること、あるいは独自のアイデアによる商品・製品の開発を求めている。優れたものについては、特許申請も視野に入れることを強調している。その中から優れたレポートを3~4件選び、プレゼンを行わせるが、極めて活発な意見交換が行われる。開発に対する潜在的興味が刺激される様子が伺え、社会の現場に立ったような現実味のある議論が展開されることから有用な企画と考えられる。

 以上、氏の有機工業化学における教授法にはいくつかの独特の工夫が施され、学生の興味を引き、考える力と論理的思考を養い学修に効果を上げている。そのことは学生の授業アンケートの結果からも裏付けられるものであり、教育に大きな貢献をしている。よって、工学部教育貢献賞に氏を推薦します。