工学部教育貢献賞

工学部教育貢献賞推薦書
コース名:機械工学コース
推薦対象者:八木 秀次 職名:准教授
推薦者(コース長):保田 和則

表彰の対象となる教育活動の内容と推薦の理由

 推薦対象者は、「機械工学科の教育プログラムの開発および実践」に関し、以下に示すような特筆すべき教育業績を残している。

達成度表の開発と実施な関わる功績
機械工学科では、学生に学習・教育目標を理解させ、学生自身が学習達成の現状を分析し、今後の学習目標を立てさせるためのシステム「達成度表」を導入している。達成度表は、機械工学科で構築している学生の質的保証システムの中核をなすものであるが、推薦対象者はこの達成度の基本的な考え方と運用するシステムを構築し、学生の学習意欲向上に寄与している。
機械工学科では、毎学期初めに学生に達成度を作成させ、履修指導教員に提出させることとしている。達成度表では、目標をポイントとして集計するとともに、各目標の達成の度合いをレーダーチャートとして表し、目標に対する現在の達成度を把握することができる。学生自身は、現在までの状態を把握できるだけでなく、科目-学習・教育目標関連表などを参考にして達成度がシミュレートでき、科目選択などの学習計画が立てやすくなる。また、教員はこれらの提出された達成度表を基に学生個々の目標達成の状態を共有し、把握・指導することができる。また、学科内においても達成度は、各種表彰、博士前期課程への進学における推薦の基準として採用されており、学生の学習意欲の向上につながるものとして有効に活用されている。
達成度は、機械工学科の平成17年のJABEE審査の際に、高く評価され、その認定に大きく寄与した。また、工学部としても平成21、22年度愛媛大学教育改革促進事業において「学生と教員の協力に基づく個別履修指導のシステム化」の中心的取り組みとして採用された。

創造設計製作の設立と運営の功績
推薦対象者が中心となり、機械工学科学生の創造的設計能力を養う目的で、平成15年度より「創造設計製作」という科目を設け、現在まで改善発展させており、新しい発想に基づく実践的科目として学内および学外からも高い評価を受けている。
内容は、3年前期までに習得した知識を基に、学生自身が新しいものを発想・創造しそれを具体的に製作し、さらにそれを教員や学生を含めて評価しようとするものである。学生にとって最も印象に残る授業の一つとして認識されている。その授業において、Plan-Do-Check-Actionを繰り返し、その経験を基に、平成19年度愛媛大学教育改革促進事業において「創造性ものづくり教育法の開発と評価」が採択され、平成19、20年度の実施により著しい効果が上げるとともに、学習環境の整備に大きく寄与した。続いて、平成21年度工学部長(理工学研究科工学系長)裁量教育改革支援にも採択され、「地域企業のニーズに基づく課題設定による創造設計製作」という地域ニーズという目的を加味した新しい試みがなされた。このように、推薦対象者は、平成15年度のスタートから現在まで、中心的役割を担っている。

 なお、機械工学科では、「機械工学科教育システム改善貢献賞」並びに「機械工学科授業改善貢献賞」の2種類の顕彰を設け、教員の教育意欲・教育能力の向上を図っている。このうち推薦対象者は「機械工学科教育システム改善貢献賞」を上記理由により2度にわたって受賞している。