研究室訪問

  電気電子工学科・電子物性デバイス工学分野・ナノエレクトロニクス研究室

 オープンキャンパスで愛媛大学を訪れた高校生のA君は、電気電子工学科の学科紹介コーナーで目にした1枚の絵がどうしても気にかかり、友人を従えて下村哲先生の研究室を訪ねた。

ようこそ!ナノエレクトロニクス研究室へ 走ることが好きです。

今日、オープンキャンパスで先生のお話しを聴かせてもらいました。半導体って、いろいろなことができるんだなって感心したんですが、もう少し、詳しくというよりは、やさしく、教えてもらえないでしょうか。

 もちろん大歓迎だ。どの図が印象に残っている?

鳥取砂丘の写真とナノスケールの風紋の絵を説明してください。

鳥取砂丘
※ 砂丘センターの写真より引用
http://www.sakyu-daisen.jp/sakyu/garelly/ga/21.html
ナノスケールの風紋

 まず、最初に鳥取砂丘の風紋の写真を見せたよね。砂の上にできる波のような模様。あのような模様が半導体の結晶を成長するとできるんだ。それが、ナノメートルの風紋だ。

そのナノメートルって、すごく小さいってのは分かりますが、どのくらい、小さいんですか?

 1ミリメートルを千分の一にしたのが、1マイクロメートル(ミクロン)だ。この大きさが、光学顕微鏡で見える限界だ。この1マイクロメートルをさらに千分の一にすると、1ナノメートルになる。それほど小さいスケールだ。さらに十分の1にするとÅ(オングストローム)。原子の大きさだ。

眼に見える限界のさらに千分の1だと、当然目では見えないですよね。そのように小さな風紋は、どうやって見るのですか。

 原子間力顕微鏡という装置を使って見るんだ。原子間力顕微鏡は、ビーニッヒという人が1985年に発明した装置なんだ。

僕たちにも使えますか。

 もちろん、君たちも、使い方の説明を聴いて、半日くらい操作の練習をしたら、表面が観察できるようになるよ。この研究室で使っている原子間力顕微鏡で、この原子間力顕微鏡で見た半導体の表面だ。半導体の表面にきれいな風紋を作るにはどうしたらいいか条件をかえて造ってみたんだ。

原子間力顕微鏡 原子間力顕微鏡で見た表面の写真

この風紋の周期は、どのくらいですか。

 40 ナノメートルだ。

この風紋は、風でできるんですか?

 半導体上の風紋は、風ではできないよ。というより、真空中でつくるから、風を起こしたくても起きないんだ。

じゃー、どうやって風紋のような模様が半導体の表面にできるんですか。

 いい質問だ。実は、半導体の風紋をつくる秘訣があるんだ。

秘訣をきいてもいいですか?

 我々が発見した特別な方向に切り出した結晶の表面を使うことが一番目の秘訣だ。この特別な面は、(7 7 5)Bと呼ばれ、通常使われている(0 0 1)という面から63°傾いている。ニ番目は、どんな種類の原子の砂粒をどのくらいの量、半導体の表面に振りかけるかだ。種類をかえることで風紋の周期も変わり、いろいろな機能を持たせることもできる。三番目は、風紋をつくる温度だ。結晶表面の温度が比較的高いと、原子の砂粒が適度に表面を動くんだ。温度が低いと原子があまり動かず、きれいな風紋ができない。

原子の砂粒をつくるの、むずかしそうですね。

 君らもいつも作っているよ。水の温度をあげるだろう。そうすると、水分子の砂粒がでてくるじゃないか。最高の真空環境(超高真空)を使うと、半導体材料の入った容器を熱すると材料の表面から原子や分子が飛び出して、直接、半導体の表面に届くんだ。

だから、真空を利用するんですね。

 そのとおり。

どのくらい、熱するんですか。

 材料によるんだ。アルミニウムのように1300℃近い温度が必要なものもある。

そんなに高い温度が必要なんですか。でも、蒸気ってどんな温度でも出るんですよね。蒸気圧は、温度とともに高くなって、一気圧になると沸騰すると教科書にでていました。

 君は、タイムリーにいいことをいうな。研究者に向いている。

そうですか。うれしいな。僕、研究者か発明家になりたいんです。特に最先端の装置を造りたいと思っています。原子間力顕微鏡もすっごく興味があります。

 じゃ、分子線エピタキシー装置という装置を見せよう。原子の風紋を造るのに使っている装置だ。


分子線エピタキシー装置

これは、大きな装置ですね。

 この中で、半導体材料が原子や分子が、容器を飛び出して、結晶の表面に達する。1平方センチメートルには、一層あたり、約100兆(1014)個の原子が整然と並んでいるんだ。1秒間で一層の原子の砂粒を並べるには、アルミニウムを含む半導体では千三百℃という高い温度が必要だ。千二百℃にすると、原子の供給量は、千三百℃のときの十分の一になる。さらに百℃さげると、供給量はさらに十分の一になる。大体の目安だけどね。

どのくらいの精度で温度を制御するんですか。

 またまた、いいことを言うね。0.1℃だ。それも1300℃における0.1℃だから5桁目。13万円の買い物をするときに1円単位の値段を問題にするわけだ。最近0.01℃の精度が必要となってきた。まだ、実現できていないけれど。

どこに半導体材料があるんですか。

 この部分だよ。半導体材料を入れるところは10種類。

十種類も入れられるんですか。

 シャッターがあるからいろいろな材料を結晶表面に積み重ねられる。その構造を工夫するのが、我々の研究の重要な仕事の一つなんだ。

風紋をつくるところはどこですか。

 風紋をつくる土台の結晶は、基板結晶とよんでいる。図では、「半導体を成長する基板」と示されているよ。その基板は、裏からヒーターで熱せされる。風紋を作るときの基板の温度は、590℃だ。基板の温度を測る温度計と、基板の上にむらなく原子が降り注ぐように基板を回す歯車がついている。

この装置の中は、真空ですよね。真空っていうことは、何にもないんですか。

 本当になにもない真空を造ることは、いろいろな理由で難しいんだ。でも大気圧の百兆分の1(1/1014)の真空が実現されている。超高真空と呼ばれる真空だ。

さきほど積み重ねるといわれましたが、風紋を横からみるとどんなふうなんですか。

 君は、本当に、研究者に向いているね。この風紋を、横から見た、つまり垂直に切った断面を見たのが次の図だ。これは、透過型電子顕微鏡という装置で撮影した写真だ。


透過型電子顕微鏡で見た半導体断面

ショートケーキを横から見ているわけですね。

 うまいことをいうね。まさに半導体のケーキだ。半導体の種類をかえているから濃淡ができて、境界がはっきり見えるし、どのように半導体が成長していくか分かるんだ。

この一番黒い層は、厚くなったり、薄くなったりしていますね。

 そこが、研究の要、一番大事なところだ。よくぞ、言ってくれた。その部分を量子細線って言うんだ。

さっきの説明も、そこから、全然わからなくなりました。量子ということばも、良くわからないし、細線なんかどこにあるんですか。

 君たち、さすがだな。まずは、難しい方の量子から。連続だと思っていた物理量が飛びとびになると量子ということばを使うんだ。電磁波も周波数が高くなって光の領域になると、ひとつ二つと数えることができる現象が顕わ(あらわ)になってくる。

量子とか光子とか、女性の名前見たいですね。

 その一方で、粒子だと考えられていたものが、波の性質をもつ。電子は、質量があって電荷をもっていて、一つ、二つと数えられる現象がしられていた。

電子は、波になるんですか。

 たとえば水素原子、この原子はプラスの電荷をもつ陽子とマイナスの電荷をもつ電子が結びついたものだ。

そうですね。プラスの電荷とマイナスの電荷には引力が働く。クーロンの法則です。だから結びつくんですよね。

 でも、良く考えると、陽子と電子は限りなく近づくはずだ。途中で近づくのをやめるのはおかしい。

月が地球の周りをまわるように、ぐるぐる回っているんじゃないんですか。

 君は物理を知っているね。そのモデルも、実は、難点がある。電荷がぐるぐる回ると、電磁波を発しながら、電子は運動エネルギーを失って、電子と陽子の距離がどんどん小さくなっていく。

困ったことになりましたね。

 これをスカッと解決してくれる理論が量子力学だ。この理論は、電子が波であることを上手に表現して、今までの謎を解き明かしてくれるんだ。半導体レーザは、この理論を基に設計するんだ。

それは、すごいですね。是非、その理論を自分のものにしたい。

 君は意欲的だね。絶対、電気電子工学科にすすむべきだ。もちろん、愛媛大学の工学部の電気電子工学科へ。

先生、熱いお誘いですね。絶対入れくださいよ。

 私からもいわせてもらいたいな。絶対、合格してください。

で、細線の方は。

 細い線があったら細線ってよぶだろう。普通、思い浮かべる細線の断面は円だ。でも断面がどんな形でも、細線だ。この半導体の細線の断面は、平行四辺形。平行四辺形の長い羊羹が横に連なって層をなしている。半導体のなかでは、電子がマイナスの電気を運ぶのに対して正孔はプラスの電気を運ぶ。電子と正孔が電流の担い手だ。電子と正孔を、その羊羹、一本一本に閉じ込めることができるんだ。量子力学を学ぶと何故閉じ込めることができるか理解できるよ。

量子力学を学ぶのが、ますます楽しみです。あのー、閉じ込めると、何かいいことがあるんですか。

 電子と正孔は、電流を流すという特技に加えて、もうひとつすごい特技をもっている。それは、電子一個と正孔一個は結びつくと消えてしまうんだ。そのかわり光の粒をひとつ出すんだ。電子と正孔が同じ場所に閉じこめられていると、電子と正孔は結びつきやすくなるから、効率よく光を出すことができる。

よく光るっていうことですね。

 そのとおり。ところで、レーザ光線って、知ってる?

赤い光がでて、敵に当たると爆発する光線銃です。映画で良く見ます。

 そんな、危ない光線銃は、僕たちは作っていないけれど、この量子細線をつかって、レーザ光線が作れるんだ。普通のレーザ光線はね、半導体の板の側面から出てくるんだ。

端っこが好きなの。

 そうじゃないよ。光がね、右の端と、左の端を行ったり来たりして、側面から出てくるんだよ。表面から出る特別なしくみを持っているのが面発光レーザだ。東京工業大学の伊賀先生が発明したんだ。


面発光レーザと端面発光レーザ

ふーん。表面からでるといいことがあるの。

 側面だとね。一列にしかレーザを並べられないけれど、表面だと縦と横に何列も並べられるだろう。高速のカラープリンターでは、面発光レーザがすでに活躍中だ。でもね、レーザ光線の偏光が安定しない、温度が上がると光らなくなるなどの問題があるんだ。それを解決するのが、この風紋を利用してつくった量子細線だ。

偏光って、何ですか。

 光には、首を縦にふって進むものと、首を横にふって進むものがあるんだ。首と言っているのは、電界という物理量なんだけど。首を縦に振って進むと、電子もそれによって揺すられる。

首をぐるぐる回して進むものはあるの。

 そういうものもあるよ。面発光レーザでは、首を縦に振って進む光と横をふって進む光のどちらを出すかきちんと決められないんだ。

でも、光がでればいいよ。敵をやっつけられるから。

 通信や測定の世界では、困った問題になっているんだ。光が温度や電流の変化で首の振り方を変えてしまうから。これが、ノイズ(雑音)になって、通信速度が落ちてしまう。この問題を、量子細線の層が、解決してくれるんだ。

どうしてですか?

 量子細線は光を出すアンテナなんだ。光を出すアンテナが細線の方向を向いているから、首を縦に振る(細線の方向に振動する)光をたくさん出すようになるんだよ。つぎに見せる図は、量子細線試料の表面からでてくる光のスペクトルだ。先ほど見た電子顕微鏡で断面を観察した試料から出てきているんだ。首を縦に振る光が横に振る光よりも倍近く強く出ていることがわかる。しかも、光通信に使うのにぴったりの波長1.55マイクロメートルの光が出るように設計されている。


ホトルミネッセンス

で、レーザーは上手くできたんですか?

 赤い光を出すレーザでは、大成功だったよ。電流を流すと首を縦に振る光だけがでてくるんだ。電流の量を変えても首を縦に振って出てくる。

すごいですね。ぼくに光線銃つくってもらえませんか。

 だめだよ。眼に入ったら危ないからね。

レーザにするには、何か特別なことをしなければいけないんですか?

 実にいいことを訊くね。光を発する部分の両端に鏡をつけて光を往復させるとレーザになる。実際に我々が成功したレーザの構造を見せよう。


面発光レーザの構造図

すごーい。

 すごいだろー。

いいえ、すごい複雑。でも、なんか、すごいよ。どんな、仕組みでレーザ光が出てくるんでんすか。

 上の黄色いリング電極(+)から基板側の電極(-)へ電流を流すと、量子細線層に電子と正孔が注入される。そこから出た光が上下の多層膜ミラーで反射される。これが、仕組みだ。

両方とも鏡だったら光は出てこないのではないですか。

 その通りだね。上の多層膜ミラーは、光が一部透過するように層の数を減らしてある。

鏡を二つつけるとレーザになるんですか。

 重要なポイントをいとも簡単についてくるね。実は、光を発する部分の本当の役目は、光を増幅することなんだ。

光を増幅することができるとは初めて聞きました。いいことを聞いた気がします。

 そう言ってもらえたら光栄だ。光は、鏡の間を往復するたびに増幅する。一往復で1.1倍でも8往復すれば、2倍になる。16往復すれば4倍だ。

指数関数的に増幅するということですね。ちょっと待って下さいよ。ということは、あっという間に すごい強さの光になりますよ。光は地球を1秒間に7周半も回るんですから。いったい1秒間に何往復するんだろう。

 一往復1マイクロメートルとして、1秒間に300兆回往復するね。

すごい量のエネルギーが出てくるはずですね。

 これが発振という現象だ。光がどんどん強くなっていくのであれば、エネルギー問題は一挙解決だ。ところが、投入したエネルギー以上に出てくるはずはない。もちろん、光のエネルギーへの変換効率は、びっくりするほど良くなるけれど。次のグラフが、発振に成功した量子細線面発光レーザの電流と光出力の関係だ。電流(current)を増やしていくと光出力(light output)が0.34 mAで急に傾きが変わっているだろう。ここより上の電流では、ちょうど一往復で1以上に光が増幅され、レーザ発振が生じている。


量子細線面発光レーザの光出力と電流

首をたてにふる面発光レーザの作製に成功したということは、もう使われ始めたのですか?

 いや、まだ、寿命が短くてね。

そうなんですか。じゃ、長く遊べないですね。

 いま、寿命を長くするために、すごい工夫が進行中だ。光通信で使う赤外の光(波長1.55マイクロメートル)の光を出すレーザも開発中だ。光励起では、すでに、首をたてにふる面発光レーザになることを示しているよ。

僕たちが、愛媛大学に入って、4年生になったら、先生の研究室で研究できますか。

 もちろんだ。光を発する半導体は、種類も豊富で、それを組み合わせたり、新しい構造を作り出すことで、いろんなことができるんだ。アイデア次第ってことだ。是非、君たちのアイデアで新しいものを作り出してほしい。まだ必要とされるレーザ光がどの波長でも作られているわけではないからね。

アイデアは、簡単に思いつきますか?

 アイデアにも小さなものから大きなものまでいろいろある。まずは、なにか困ったことや解決すべき課題があったら、いろいろな方法や工夫で解決をこころみてほしい。大体の設計図を書いて造りだしてしまうのもいいかもしれない。造っていくうちに新たな問題が見え、工夫も生まれる。そうして、だんだん形になっていくんだ。いろいろ試しているうちに、思ったことと別の発見をすることもよくあるんだ。
 また、一つ何か新しい事を習ったら、こんなことをしたらどうなるか、こんな場合はどうなるか、いろいろな場合について考えてみる。そうしているうちに、いいアイデアを思いつくよ。君たちには、是非、愛媛大学の工学部・電気電子工学科に来てほしい。

本当に、入りたくなりました。どんな、勉強をしたらいいですか。

 受験科目は愛媛大学のホームページですぐわかるよ。勉強するうえで大切なことは、考えることと、理解をすることに時間をぜいたくに使うことだ。そうするといろいろなことがはっきりと見えてくる。つじつまが合っているかきちんと調べるだけで時間も使うし楽しめる。なにか新しいことを学んだら、鵜呑みにせず、それは本当か、自分の持っている知識や経験と照らし合わせて矛盾がないか良く考える。ちょっとおかしいぞ、納得できないぞと思ったら、とことん考えてみる。論理に穴がないか、いろいろな例で調べてみる。

わからないことがあったらどうしますか。

 わからないときは、どの部分がどのようにわからないのか、狭めていく努力が必要だ。人と議論することも理解や問題点の整理に役に立つぞ。理解できないのは、同じ道をずっとぐるぐる回っているのと同じでなかなか、固定観念から抜け出せないことが原因のひとつだ。人と話していると、そこから抜け出せて、急にわかったりする。人に自分の知っていることを人に教えることも有効だ。わからないけど分かりたいという強い思いが大切だ。分からないことは、世の中に多い。それだけ、楽しみが多いということだ。

自分に向いていそうだな。他にいい方法はありませんか。

 図を描くことも大事だし、なにか自分にあった工夫が必要だ。工夫は楽しい。

公式を暗記するだけではだめっていうことですね。

 その公式を証明する巧妙なしかけの方を理解する方が大事だな。そうすれば、公式を使うときにも迷わない。

公式は導けないとだめということですか。

 そうなんだ。そうすると何を原理としているのかもわかってくる。

僕も公式を導くのが好きです。他に大事な事は、ないですか。

 残心だ。残心とは、敵をやっつけたと思っても、まだ反撃があるかもしれないと備え油断しない武道の大事な心構えだ。人間は、コンピュータじゃないから一度正解の手順を理解していても、間違える。二桁の数の足し算ですら私は得意ではない。よく間違える。ようは、できたといって手放しで喜んで次の問題へ移ってはいけないということだ。ところが、人間なかなか間違いに気がつかない。上から下へおなじようにチェックしても間違いは簡単にはみつからない。でも、チェックの方法はある。A + B = Cで Cを求めたら C - B = AとやってA がでてくるか。論理の流れをひっくり返すんだ。X2 + 5X + 4 =0の解を求めたら、その解をもう一度方程式に入れてみるとか。物理であれば、単位のつじつまが合っているかも大事なチェックだ。チェック方法を独自に考えれば、これもまた楽しい。

今日は、いい話がきけるな。他には?

 本を読むことも大切だ。

漫画はたくさん読みますが。

 漫画は知識の宝庫だし、分かりやすくするための工夫がたくさんされている。しかも、最新の流行や情報が満載だ。だから、大いに読んでよい。だが、そこから一歩踏み出してほしい。漫画にでてくる曰くあり気な言葉、歴史、エピソード、国際政治、その出典を調べると、本へとたどりつく。本を読んで知識が深まるとさらに興味がでてもっと調べたくなる。今は、インターネットで何が出典かずいぶんと調べやすくなってきた。

漫画は入り口で、興味をもったら本へと進めというわけですね。

 そのとおり。わたしは、漫画家がどれほどの知識を本や雑誌、新聞から得ているかの方に興味がある。私は、漫画家に何を参考にしたか、参考文献を書くべきではないかと思っている。

ほかに、お勧めはありませんか。

 NHK教育テレビで放送している「テストの花道」。これは、ためになる。それと「スイエンサー」。この二つの番組は、いい。是非、一度、見てほしい。

今日は、研究の話から始まって、いろいろいいことを聴くことができました。ありがとうございました。